アセットは「資産」、アロケーションは「配分」を意味します。

つまりアセットアロケーションとは、運用資金をどの資産クラス（例：株式、債券、不動産、現金など）にどれだけ配分するかという戦略のことです。

アセットアロケーションの目的は、リスクを分散し、長期的な収益を最大化するために、さまざまな資産クラスの組み合わせを選択することです。アセットアロケーションは、個々の投資家のリスク許容度と目標額に基づいてカスタマイズしていきます。

長期投資においてリターンの約90％がアセットアロケーションで決まるとも言われています。そのため、銘柄選びや売買タイミングよりもアセットアロケーションを重視されます。

アセットアロケーションは資産の配分であるのに対して、ポートフォリオは商品の配分です。

アセットアロケーションでは投資する資産クラス（株式、債券、不動産、現金など）と配分を決めます。例えば、株式と債券の組み合わせを選ぶ場合、株式に60％債券に40％のように割合も設定します。

ポートフォリオでは、アセットアロケーションに基づいて個々の投資先・銘柄を決定します。

例えば、アセットアロケーションで株式60％債券40％を選んだ場合、株式ではトヨタ自動車・ソニー、債券では日本国債という組合せを作ります。

いきなりポートフォリオを組むのではなく、アセットアロケーションで大枠を決めてから、具体的な投資先をポートフォリオで決めていく流れです。

アセットクラスは、「資産クラス」とも呼ばれ、投資対象となる資産の種類や分類のことです。

伝統的な資産としては国内株式、外国株式、国内債券、外国債券、REIT、貴金属、預金などがアセットクラスとされています。

近年では新たなアセットクラスとしてオルタナティブ（代替）投資なども対象とされています。

オルタナティブ投資にはプライベートエクイティ（非公開企業への投資）、ヘッジファンド、商品、レアルアセット（美術品や不動産などの物理的な資産）などが含まれます。

オルタナティブには「既存のものに代わる」という意味があり、オルタナティブ投資は、伝統的な資産クラスとの相関性が低いのが特徴です。そのためポートフォリオ全体のリスクを分散し、安定したリターンを追求するのに役立ちます。

アセットアロケーションを考える際にポイントとなるのは次の5つです。

1. 自身のリスク許容度を把握する
2. リスクとリターンのバランス
3. 金融商品別のリスクを認識する
4. 投資国を分散させる
5. 定期的なリバランスを行う

リスク許容度に合わせて、株式や債券など異なる資産クラスの割り当てを調整します。リスクを許容できる範囲で最適なリターンを追求しましょう。

投資戦略が自身のリスク許容度に合致している場合、市場の変動に対して心理的に安心感を持つことができます。

逆に、リスク許容度を無視した過度のリスクを取ることは、投資の長期的な成功に悪影響を及ぼす可能性があります。リスク許容度に合った戦略を採用することで、着実な資産の成長を促進します。

リスク許容度を正確に把握するには、自身の財政的状況、投資目標、年齢、将来のニーズなどを考慮することが必要です。

アセットアロケーションは投資ポートフォリオの中で異なる資産クラス（株式、債券、不動産、現金など）に資金を割り当てるプロセスです。リスクとリターンのバランスを意識することは非常に重要です。高リターンを追求すればリスクも高まりますが、逆に低リスクな資産に偏ればリターンが制限される可能性があります。

金融商品はそれぞれリスクとリターンが異なります。投資家はこれらのリスクとリターンを考慮してポートフォリオを構築する必要があります。

例えば、株式は市場の変動に敏感で、大きなリターンをもたらす可能性がありますが、同時に高いリスクも伴います。一方、債券は比較的安定した収益を提供しますが、リターンが株式に比べて低いことが一般的です。

1つの国や地域に投資先が集中してしまうと、その国や地域の経済や政治的な変動が、運用成績に大きく影響してしまいます。そうならないために、投資する国や地域を分散させましょう。

また、外国への投資は為替リスクを伴いますが、ポートフォリオ内で複数の通貨への投資を行うことで、為替リスクを均等に分散できます。

アセットアロケーションを成功させるためには、定期的なリバランスが重要です。ポートフォリオ内の異なる資産クラスの比率は、市場の変動などによって変化します。そのため、一度設定したアセットアロケーションが時間とともに変わってしまうことがあるのです。

定期的なリバランスを行うことにより、ポートフォリオ内の資産クラスの比率が目標から大きく逸脱することを防ぎ、リスクを管理します。

アセットアロケーションは、リスクとリターンを考え、異なる投資の割合を決めるプロセスです。一方、ポートフォリオは、アセットアロケーションに基づいて構築される実際の投資の組み合わせです。

大事なのは、自分の目標とリスク許容度に合ったアセットアロケーションを計画し、それに従ってポートフォリオを構築すること。このバランスが成功の鍵です。