投資と投機の間に明確な線引きはありませんが、一般的に「投資を行う期間」で区別されます。

例えば「中長期的に利益を狙う」となれば投資に、「短期的に利益を狙う」となれば投機にあたります。

また、投資では「資産価値」に着目し投資行動がなされますが、投機では「価格変動」に着目し投資行動がなされます。

ただし「どちらの方が良い」とキッパリ決められるものではなく、あくまで分類分けでしかありません。そのため、時と場合によって使い分けるのがおすすめです。

前述の通り、投資は中長期的なものであり「将来的な利益」を得るための出資です。一般的には「株式」「債券」「投資信託」といった商品が投資にあたります。

投資で得られる利益には2種類あり、1つが売買によって発生する差益「キャピタルゲイン」、もう1つが配当や投資信託の分配金など資産保有によって発生する「インカムゲイン」です。

投資は資産を増やすことも可能ですが、反対に元本を下回る損失が出るリスクもありますのでご注意ください。

投資の主なメリットは「長期保有による複利運用ができる」という点です。

複利とは「投資した元本に利子が付き、付いた利子を含めた金額にさらに利子が付く」というものです。長期保有によって利子の金額が積み上がり、本来の元本で得られる収益と比較しより大きな収益を見込めます。

しかし、複利だけでなく「単利」も存在し、単利では利子を元本に含みません。単利と複利で比較した場合、運用期間が長くなればなるほど収益差は大きく開きます。10年単位の場合であれば、100万円単位で差が開くこともありますのでご注意ください。

また、配当金などを投資することでも利益を増大させられますので、1手段として押さえておきましょう。

投資の主なデメリットは「収支の予測難易度が高い」という点です。

例えば株式投資の場合、数年～数十年といったスパンで収支を考え購入するため、感染症など予測できない何かによって予測通りに企業が成長していかない場合もあります。

また、急用などによりにお金が必要になった場合、銘柄を売り出資を中止することとなりますが、そのタイミングで出資時より株価が上がっていなければ損失となります。

株式投資をはじめとする投資では、短期間で利益を得ることが難しく利益が出るのに数年かかるのが一般的です。特に不動産投資などの「維持費や出費が必要な投資」では、収支が大きくマイナスとなる可能性もあるので、投資を行う際には十分ご注意ください。

投資では、冷静さと計画性といった性格部分と併せ、情報収集の精度が重要となります。また、長期間での利益を考えることから綿密さが必要となるため、短気な人には投資をおすすめできません。

加えて「情報収集の精度が低い」もしくは「収集した情報に穴がある」といった場合には、価格変動に関する重要な情報を見落とす可能性もあります。

• 情報収集能力が高い人
• 細かな変化に気づくことができる人
• 精神的に安定している人

などが投資には向いていると言えるでしょう。

数年単位で先を見据える性質上、情報収集はかなり重要度が高いので投資を行う際にはこの点ご注意ください。

投機とは、短期的な相場の値動きから利益を狙うものであり、価格動向の予測がキモとなります。

投資と異なり、資産の価値そのものの向上というより、短期間で価格が上がったか下がったかのみに焦点が置かれます。

主な金融商品はFXやバイナリーオプションといった為替取引です。

投機の主なメリットは「利益獲得のスパンが短いこと」です。

特にデイトレードと呼ばれる手法では、取引が最長でも一日で完結するため、収益が即日で確定します。将来性や企業の成長といった未来予測が不要であるため、長期投資にありがちな「保有銘柄の価格急落」といったリスクが少なく済みます。

ただし、短期間のうちに買いどき・売りどきを見分ける必要があることから、集中力や観察力が必要となります。また、長期的な目線ではあまり気にする必要のない「テクニカル分析」が必要なため、その点もご注意ください。

投機の主なデメリットは「取引回数が多く手間がかかる」という点です。

投機は短期取引であるため「少額の利益を積み重ねていく」といったやり方が一般的です。そのため、リスクは低いと言えますが取引回数が多くなりやすく、手間がかかります。

また、取引に慣れてしまえば気にならないことも多いですが、初めのうちは特に「価格を確認し分析する」というプロセスに引っかかることも多いので、稼ぐことができるようになるまでに時間がかかります。

効率的に投機で稼ぐには「ある程度の時間」「取引に対する慣れ」が必要不可欠と言えますので、押さえておきましょう。

投機に向いている人は「余剰資金のある方」「時間に余裕がある方」です。特にデイトレードなどであれば、少なくとも数時間は相場を見る必要が出てくるため、時間に余裕がない場合そもそも取引ができなくなることも考えられます。

また、投機では投資に比べコストがかかりやすいので、余剰資金がないと継続が難しいです。加えてですが、投機では元本を全額失うリスクもあるため、生活資金と投機用の資金が切り離せる方でないと生活を圧迫しかねませんのでご注意ください。

投機とギャンブルは一見似ているように思えますが全くの別物であり、特に「目的」と「システム」が大きく異なります。

例えば投機を行う大半の人の目的は「利益を得ること」であり、証券会社や企業が一方的に得をするシステムにはなっておらず、投機する人の収支をプラスにすることも可能です。

一方でギャンブルは「娯楽として楽しむこと」が大半の人の目的であり、運営側が得をするシステムとなっているため、多くの場合、参加者の収支はマイナスとなります。

「短期間で収入を得られるかもしれない」「ハイリスクハイリターンである」「運要素がある」といった類似点も多いですが、同じものではないためご注意ください。

「株式投資は投資である・投機である」とキッパリ決められるわけではなく、あくまで「取引の仕方」によって変わります。

例えば、短期的な取引を行う際は投機にあたり、中長期的な取引を行う際には投資にあたるといった具合です。

投資か投機かというのはあくまで分類であり「この金融商品は投資・投機」などと決められるものではない、という点を押さえておきましょう。

投資と投機は「取引のスパン」によって分けられるものであり、短期的なものが投機・中長期的なものが投資にあたります。

「どちらがおすすめ」というものではなく、メインをどちらかに決めた上で状況によって投資と投機の判断をし、取引に緩急をつけることが重要です。

そのため、ぜひこの記事を参考として「自分向きなのはどちらか」を見極め、取引の幅を広げてみてください。