ユニコーン企業とは、設立から10年以内の非上場ベンチャー企業で、企業評価額が10億ドル以上の企業を指します。この言葉は、2013年に米国のベンチャーキャピタリストであるアイリーン・リーが初めて使用したものです。

「ユニコーン」という用語は、伝説上の生き物に由来しています。当時、10億ドル以上の企業評価額を持つ設立10年以内の非上場ベンチャー企業はまだ珍しかったため、ユニコーン企業という用語が生まれました。初めてこの言葉が使われたとき、世界にはまだ39社しかユニコーン企業は存在していませんでした。

有名なユニコーン企業には、TwitterやFacebook、そして日本のメルカリがあります。しかし、現在は上場しておりユニコーン企業から外れた企業もあります。

2023年3月時点では、世界で1200社を超えるユニコーン企業が存在しています。以下に各国のユニコーン企業数をまとめました。

• アメリカ：651
• 中国：172
• インド：70
• イギリス：49
• ドイツ：29
• フランス：25

参考：The Complete List Of Unicorn Companies / CBINSIGHTS

最もユニコーン企業が多いのはアメリカで651社、次いで中国が172社となっています。ただし、ユニコーン企業数は日々変化しているため、上記表の企業数も変動している可能性があります。

ここからは、海外の代表的なユニコーン企業を5つ紹介します。

• ByteDance（中国）…TikTok、エンターテイメント
• SpaceX（アメリカ）…ロケットや宇宙船の開発
• SHEIN（中国）…オンラインファストファッション
• Stripe （アメリカ） …オンライン決済システム
• Canva（オーストラリア）…グラフィックデザイン・印刷サービス

それぞれ詳しく見ていきます。

ByteDanceは、TikTokなどの人気アプリを運営しており、動画、ニュース、エンターテインメント、教育など、さまざまな分野のコンテンツを提供しています。75の言語を利用できるアプリを提供するほど、グローバルな企業だと言えます。

さらに、AI技術を活用し、ユーザーの好みに合わせたコンテンツを自動的に配信するアルゴリズムを開発しています。

SpaceXは、宇宙輸送事業を展開している企業です。具体的には、人工衛星の打ち上げや国際宇宙ステーションへの物資輸送などを行っています。

また、「Starlink」という衛星インターネットサービスの提供も行っており、全世界に高速インターネットを提供することを目指しています。

SHEINは、女性向けのファッションアイテムを中心に、衣服、アクセサリー、靴、バッグなどを販売しています。独自の製造プロセスと効率的なサプライチェーンを利用し、高品質かつ手頃な価格の商品が特徴。デジタルマーケティングとソーシャルメディアを積極的に活用し、2018年には世界最大のファストファッション企業の1つとなりました。

Stripeは、オンライン決済プラットフォームの開発・提供を行っています。オンライン上での決済をシンプルかつ安全に行うことができ、eコマースやサブスクリプションなどのビジネスモデルに広く採用されています。

Canvaはオーストラリアのユニコーン企業であり、グラフィックデザインツールの開発・提供を行っています。ビジネスカードやポスター、ソーシャルメディア用のポストなど、さまざまなデザインを手軽に作成できるプラットフォームです。使いやすいインターフェースと高品質なデザインテンプレートが特徴で、数千種類のテンプレートやグラフィック要素を自由に使用できます。

この利便性の高さから、Canvaは世界中で広く利用されており、特に起業家やフリーランス、マーケターなどのコミュニティで人気が高くなっています。

続いて、日本のユニコーン企業を紹介します。

• Preferred Networks…機械学習技術の開発・販売
• SmartNews…ニュースアプリの提供
• SmartHR…クラウド型の人事・労務管理ソフトウェアの提供
• Spiber…微生物による発酵プロセスを用いた構造タンパク質素材の開発
• Opn…企業向けワンストップ・ソリューションの提供
• Playco…モバイルゲームの開発・販売

Preferred Networksは、機械学習技術の開発・販売を行っている企業です。自社開発したディープラーニングのフレームワーク「Chainer」を中心に、AIシステムの構築やビジネスの課題解決に向けたソリューションを提供しています。自動運転車などの分野においても、先進的な技術を提供しています。

SmartNewsは、ニュースアプリを提供している企業です。政治・経済・芸能など多岐にわたるニュースを、ユーザーの興味や嗜好に合わせて配信しています。また、AI技術による個人化されたニュースの提供や、フェイクニュースの検出など、最新のテクノロジーを活用したサービスを提供しています。

SmartHRは、クラウド型の人事・労務管理ソフトウェアを提供している企業です。勤怠管理、給与計算、社員情報管理、労務手続きなど、人事・労務に関わる業務を一元管理できるシステムを提供しています。AIによる給与計算の自動化や、社員の働き方改革支援など、最新のテクノロジーを活用したサービスを提供しています。

Spiberは、日本のバイオテクノロジー企業で、タンパク質繊維の開発を行っています。天然素材では得られない高い強度や柔軟性を持つ繊維を製造することを目的としています。この素材は、衣服やスポーツ用品、自動車部品など、さまざまな製品に応用が可能です。

OPN株式会社は、フィンテック関連ソリューションのコンサルティングやカスタマイズ・ソリューションの開発、およびプラットフォームの構築など、企業向けのワンストップ・ソリューションを提供しています。また、オープンAPIやブロックチェーン技術を活用し、企業の組込型金融サービスの強化を支援も行っています。

Playcoは、モバイルゲームの開発・販売を行っている企業です。自社開発のゲームは、シンプルなルールと直感的な操作性が特徴で、世界中で多くのプレイヤーから支持を受けています。

Playcoのビジョンは、「誰もがプレイできるモバイルゲームを提供することで、世界中の人々を繋げること」です。最新のテクノロジーを駆使した開発手法や、世界中のトップクラスのクリエイターとのコラボレーションなど、高い技術力とクオリティのゲームを提供しています。

海外と比較して、日本はユニコーン企業が少ないと言われています。その理由には、以下の要因があると考えられます。

1. ベンチャーキャピタルの資金調達が少ない
2. 日本における新しい産業の成長が遅かった
3. 海外との繋がりの不足

これらを詳しく見ていきます。

ベンチャーキャピタルとは、スタートアップ企業などの成長段階の早い企業に資金を提供し、その企業の成長・発展を支援する投資ファンドのことです。

日本のベンチャーキャピタル市場は比較的小規模です。そのため、ベンチャーキャピタルからの資金調達が少ない傾向にあります。

日本の産業は、自動車、電気製品、半導体、機械工業など、大企業を中心とした伝統的な産業が主流でした。そのため、日本のスタートアップ企業は成長の機会を十分に享受できなかったとされています。

日本のスタートアップ企業の多くは、日本国内市場に注力しており、海外市場に進出することが少ないとされています。このため、グローバル市場で競争力を発揮することができず、海外のユニコーン企業との差が広がってしまっています。

一般的に、個人が直接ユニコーン企業に投資することは困難です。なぜなら、ユニコーン企業は非上場企業であり、一般の個人投資家が投資することができる市場が存在しないからです。しかし、個人でユニコーン企業に投資する方法もあります。

例えば、ベンチャーキャピタルファンドへの投資に参加する方法や、クラウドファンディングプラットフォームを通してユニコーン企業に投資する方法などがあります。

ただし、クラウドファンディングプラットフォームを利用した投資は、株式ではなく債券や証券化商品などの形態をとります。そのため、ご自身に合った投資方法を選択することが重要です。

ユニコーン企業は、世界各国で注目を集めている急成長企業です。ひと昔前に比べれば日本もユニコーン企業数は増えているものの、アメリカや中国と比べるとかなり見劣りするのが正直なところです。

一般的には個人がユニコーン企業に投資することは難しいと言われています。

そこで、ベンチャーキャピタルファンドやクラウドファンディングプラットフォームを利用した投資を検討するか、ユニコーン企業が上場する際にIPO投資を検討するのが有効です。気になる会社が見つかったら、企業の動向を定期的にウォッチしてみましょう。