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インパクト投資をわかりやすく解説
インパクト投資はESG投資とどう違う?
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投資の知識

インパクト投資とは?ESG投資との違いや日本での取組み事例

2023.06.15

証券コード

物価高騰や年金問題などでさらに投資が身近な存在になりつつある昨今インパクト投資という投資方法が世界的に注目されています貧困教育環境などの社会的な課題解決を目指しつつ同時に金銭的な利益も追及することを目的とするインパクト投資ですが一般の人々における認知度はまだまだ低いといえます

限られた財源でさまざまな問題解決が求められるこれからの時代インパクト投資はさらに拡大することが予想されます

インパクト投資の事例やESG投資との違いについて触れながら初心者にもわかりやすく解説します

※個人投資家から事前に募った質問もございます。

目次

  • 01.

    インパクト投資とは?

  • 02.

    インパクト投資のメリットデメリット

  • 03.

    日本におけるインパクト投資の取組み

  • 04.

    今後インパクト投資はさらに拡大していく?

  • 05.

    インパクト投資の理解を深め上手に資産運用しよう

インパクト投資とは?

一般的な投資はリスクリターン2つの軸をもとに価値が判断されてきましたインパクト投資はそこにインパクトという第3の軸を加え社会的なリターンと金銭的なリターンを両立させることを目指した投資方法です

 

インパクトとは一言でいうと(社会)や地球(環境)などに対する影響や変化のことですポジティブな面での社会的環境的インパクトを金銭的なリターンと並行して生み出すことを意図しているのがインパクト投資です

 

本来は貧困や環境教育や福祉など世界規模で懸念されているさまざまな課題に対し国や地方自治体などが社会保障として解決に取り組むべきでしょうしかし財源の確保が難しく全ての問題解決を公的な支援で行うことが出来ないのが現状です

 

そこで投資という手法を取り入れ民間資金を活用することで問題解決に向けた取組みを行うことを目指したインパクト投資が注目されるようになりました

 

社会的な課題解決のテーマは多岐に渡ることからインパクト投資の投資先分野も非常に幅広いといえます

インパクト投資の特徴

インパクト投資には大きく分けて4つの特徴があります

 

  • 社会的環境的インパクトを生み出すという投資家の意図があること
  • 社会的なリターン金銭的なリターンの両立を目指していること
  • 株式債券不動産など多様なアセットクラス(投資対象となる資産の種類)での取組みであること
  • 社会的インパクト評価を行うこと

 

インパクト投資は意図を持って社会的な影響を求めると同時に金銭的なリターンつまり収益も両立させる必要がありますリターンを求めるという点で一般的な寄付や助成金などと異なることを理解しておきましょう

 

さらにインパクト投資では社会的環境的インパクトを起こせたかどうか把握するためのインパクト評価をすることも重要なポイントです

 

インパクト評価とは綿密なインパクト測定とマネジメントによって事業がもたらした変化を測定分析し効果についての知識を蓄積発信することです

 

インパクト測定は一般的に以下の4つの要素を含んだロジックモデルを使って定期的にモニタリングし結果の分析や報告今後の改善などに活用します

 

  • 取組みに必要な材料を確保するインカム
  • 取組みや行動の計画開発を行う活動
  • モノやサービスの提供など実際に行動を実施するアウトプット
  • 取組みによって得られた変化や効果を表すアウトセット

 

上記のプロセスに沿って事業内容を可視化しPDCA(Plan:計画Do:実行Check:評価Act:改善)を回すことで投資戦略をマネジメントします

ESG投資との違い

インパクト投資と似た投資方法にESG投資というものがありますESG投資とは環境社会ガバナンス(健全な企業経営を行うための統治支配管理)の英字の頭文字をとった言葉で非財務情報も考慮した投資のことをいいます

 

投資を通じて社会に貢献するという点は双方に共通しておりインパクト投資はESG投資の1つとして位置付けられますこれら2つの違いは重視している対象が異なるということです

 

ESG投資は社会的環境などを考慮した取組みが将来的に企業の大きな利益に繋がると考えて投資対象を決めるため重視するのはリターンです

 

一方インパクト投資はリターンを求めると同時に社会的環境的インパクトを起こすことを目的としているため重視するのはインパクトです

一言でいうとESG投資は社会問題解決に取り組みながら企業におけるリスク削減と企業価値の最大化に重点をおいている投資です

 

一方インパクト投資は金銭的なリターンを生み出しながら特定の社会課題解決を目的とする明確な意図をもって行う投資であることを理解しておきましょう

インパクト投資の投資先分野

インパクト投資の投資先はさまざまな分野があり投資方法も極めて多様です代表的な投資先分野は以下のとおりです

 

  • 食料農業
  • 環境エネルギー
  • ヘルスケア
  • 教育
  • 金融
  • 住宅
  • 森林
  • 公衆衛生
  • ICT

 

金融庁の報告によるとグローバルではエネルギー金融森林や食料と農業への投資が多く国内では教育や健康ITや先進技術などへの投資が多いことがわかっています

インパクト投資のメリットデメリット

インパクト投資の最大のメリットは自分が興味関心のある分野に投資しながら社会貢献ができるということですまた全世界においてSDGsへの取組みが重視されている現在社会問題の課題解決を目的とするインパクト投資は今後ますます拡大することが予想され長期的に安定して資産運用ができるというメリットがあります

 

一方でデメリットもあります投資という面で必ずリターンがあるとは限らず社会問題解決という面でも短期的に大幅なリターンを目指すことは難しいといえます

 

また日本においての認知度はまだまだ低く投資先企業や商品の情報が不十分な面もあり投資対象を選ぶことが難しい現状もあります

 

インパクトウォッシングというインパクト投資に見せかける行為が増加する懸念もあることから投資する際はしっかりとインパクト評価を見極めることが大切です

日本におけるインパクト投資の取組み

日本でもインパクト投資に取り組む事例も増えてきました具体的な企業としては第一生命保険株式会社2017年よりインパクト投資に取り組んでいます複数の部署が協業してインパクト投資を行う体制が整っており複数のアセットクラスでインパクト投資を実践しています

 

また株式会社CureAppでは インパクト投資を通し医療分野をはじめとしたさまざまな分野の課題解決を目指しています

 

日本でインパクト投資を専門的に行うファンドとしてははたらくFUNDが挙げられますはたらくFUNDでは多様な働き方生き方の創造を社会的インパクトとして掲げ育児や介護などさまざまなライフイベントとともに働き続けられる環境づくりを推進する企業に投資しています

 

例えば保育士不足の課題解決を推進する企業やIT人材社会の課題解決をリードする次世代人材育成を推進する企業への投資が主な事例です

今後インパクト投資はさらに拡大していく?

近年世界においてインパクト投資市場は急速に拡大していますその大きな理由として全世界においてSDGs達成に向けた取組みが重視されている背景があります貧困紛争気候変動など私たちが解決しなければならない問題は山積みである一方その財源確保には限界があります

 

インパクト投資という民間資金を活用し全世界が協力し合って問題解決に取り組むことが必要不可欠になっているのです

 

インパクト投資拡大はインパクト投資を取り巻く環境の変化にもありますもともとインパクト投資は未上場企業(スタートアップを含む)への投資が中心でしたしかしアセットクラスの多様化により大手の運用会社や銀行がインパクト投資市場に参入したことで上場企業への投融資が増加しインパクト投資市場の拡大を進めています

 

さらに国内においてもインパクト投資に対して政府にも果たすべき役割があるとし金融庁のみならず内閣官房や環境省なども取組みを開始しました国内外問わず今後インパクト投資の拡大は進みますます成長していくでしょう

インパクト投資の理解を深め上手に資産運用しよう

インパクト投資は資産運用とともに世界におけるさまざまな課題解決に向けた重要な役割を担っています今後ますます成長していく投資方法の1つと考えられます

 

インパクト投資には官民連携が必須であることから政府の働きかけにも注目しておきましょうまた長期的安定的な資産運用のためにインパクト投資が抱える課題も含めた理解を深めていくことが大切です

情報提供:インパクト投資とは?ESG投資との違いや日本での取組み事例
※この記事は投資の参考となる情報提供を目的としたもので、掲載企業の株式についての投資判断あるいは株価に対する動向に関する助言を行うものではありません。当記事に投資勧誘を意図するものはなく、投資の決定はご自身の判断と責任でなされますようお願い申し上げます。記事に記載された内容は取材時の内容を一言半句違わず記載しているものではなく、話の流れ等が分かりやすいよう幾らか加筆している部分がございます。また、記事に記載された内容等は取材・作成時点のものであり、正確性・完全性を保証するものではなく、今後予告なく修正、変更されることがあります。一部の数値についてはティッカートークが算出しているため、各企業の開示資料とは異なる場合があります。また、発行体の確認を受けていない場合もあります。

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