「レンジ相場」とは、相場が一定の範囲内で推移する状態を指します。上昇トレンドや下降トレンドとは異なり、市場参加者の売買意欲が拮抗しているため、価格がある一定の範囲内で上下に推移する特徴があります。

市場の不確実性が高まる時期や重要な経済指標の発表前後など、相場の方向感が希薄なときによく見られます。

レンジ相場の主な特徴は、以下の3つです。

レンジ相場では価格の変動幅が小さくなるため、価格変動の大きさである「ボラティリティ」が低くなります。このため、市場において、大幅な価格変動のリスクが抑制される可能性が高くなります。

レンジ相場では、価格が一定の範囲内で変動するので、「サポート（支持）ライン」と「レジスタンス（抵抗）ライン」という2つの重要なラインがハッキリと現れます。

・サポートライン：テクニカル分析の一部であり、価格チャート上で価格が下落し、一時的な底をつけ、そこから再び上昇する傾向がある価格帯や水準を指します。価格下落をサポートするラインで、ここで価格が下落しにくくなる傾向があります。

・レジスタンスライン：サポートラインとは逆で、価格チャート上で価格が上昇し、一時的に天井をつけ、そこから再び下落する傾向がある価格帯や水準を指します。価格上昇の抵抗ラインで、ここで価格が上昇しにくくなる傾向があります。

レンジ相場が一定期間続くと、市場参加者が価格の上限や下限に注目し始めます。このため、価格が範囲の上限や下限に達した際に、相場が反転する時があります。このタイミングを上手く捉えられれば、投資家はより効果的なエントリーポイントを見つけられる可能性が高くなります。

レンジ相場のメリットは、まず相場の変動が比較的予測しやすい点です。価格が一定の範囲内で推移するため、サポートラインやレジスタンスラインを基にトレード戦略を立てられます。また、相場の変動が穏やかなため、投資初心者でもリスクを抑えながら取引ができます。

一方、レンジ相場のデメリットは、価格が上昇または下落する幅が限定されるため、大きな利益を得るのが難しい点です。また、エントリーポイントが限定されるため、取引の機会が限られるのもデメリットになります。

このように、レンジ相場は価格変動リスクが低い一方で、大きな利益を得ることが難しいという特徴があることを理解しておきましょう。

レンジ相場では、価格の変動が小さくなるため、短期トレードやスキャルピングが有効な投資戦略となります。具体的には、以下の2つの戦略が挙げられます。

価格がサポートラインに達した時点で買いエントリーし、価格が上昇するタイミングで利益確定する戦略です。サポートラインが保持されている限り、相場が上昇する可能性が高いため、効果的な手法です。

価格がレジスタンスラインに達した時点で売りエントリーし、価格が下落するタイミングで利益確定する戦略です。レジスタンスラインが保持されている限り、相場が下降する可能性が高いため、有効な手法です。

リスクを最大限に避けるには、ストップロス注文を設定しましょう。サポートラインでの買いエントリーの場合、ストップロスはサポートラインを下回る価格に設定します。レジスタンスラインでの売りエントリーの場合、ストップロスはレジスタンスラインを上回る価格に設定します。

利確ポイントは、サポートラインまたはレジスタンスラインの反対側に設定することが一般的です。つまり、サポートラインでの買いエントリーの場合、利確ポイントはレジスタンスラインで、レジスタンスラインでの売りエントリーの場合、利確ポイントはサポートラインで設定します。

レンジ相場においては、以下の2つの注意点に留意する必要があります。

レンジ相場が長期間続く場合、価格が範囲の上限や下限を突破し、新たなトレンドが形成される可能性があります。このような場合には、早めのポジション調整が重要です。

レンジ相場は一時的な状態であり、必ず終焉を迎えます。そのタイミングを見極めることができれば、大きな利益を得るチャンスを掴めるかもしれません。

上記のように、レンジ相場は一時的な状況であるため、トレンド市場への転換が予想されます。特に、重要な経済発表やニュースがきっかけとなることがあります。経済カレンダーを確認し、市場の動向に注意を払うと共に、早期のエントリーやポジションの変更を検討しましょう。

レンジ相場は、一定の範囲内で価格が上下する相場を指します。価格の推移が比較的安定しており、サポートラインとレジスタンスラインが明確に形成されるのが特徴です。投資初心者にとっては、相場の変動が予測しやすく、リスクを抑えながら取引できるメリットがあります。

一方で、レンジ相場は大きな利益を得るのが難しく、トレードのタイミングが重要となるため注意が必要です。サポートラインやレジスタンスラインを活用した投資戦略が有効ですが、一気にレンジ相場が崩れる瞬間があります。判断を誤って大きな損失を被らないように、リスク管理をしっかりしてトレードしましょう。