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クロス取引の活用方法やメリットをわかりやすく解説
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投資の知識

クロス取引をわかりやすく解説!活用方法やメリットデメリットは?

2023.05.26

証券コード

クロス取引とは同じ銘柄数量の買いと売りの注文を同時に出して同じ価格で約定する取引のことです

株主優待を獲得しながら株価変動のリスクを回避できるため個人投資家の間で広く利用されていますがやり方を間違えると優待を獲得できなかったり余分な手数料を支払うことになる恐れがあります

今回はクロス取引の概要や活用方法メリットデメリットについて解説します

※個人投資家から事前に募った質問もございます。

目次

  • 01.

    クロス取引とは

  • 02.

    優待クロス取引とは

  • 03.

    優待クロス取引のメリット

  • 04.

    優待クロス取引の注意点

  • 05.

    優待クロス取引のやり方

  • 06.

    クロス取引は数量ミスにも要注意

クロス取引とは

クロス取引とは売りと買いを同時に行いその取引で得た利益や損失を相殺する取引手法1つです

 

同じ銘柄に対して同じ数量の買い注文と売り注文を同時に出しそれらが同一価格で約定されることで株価の変動リスクを最小限に抑えながら株主優待などの利益を得ることができます

 

またクロス取引は株主優待狙いだけでなくリスクヘッジのためにも利用されます

 

例えばある銘柄を保有しているが急激な株価の下落などにより損失が懸念される場合クロス取引を使って損失を回避することができるのです

 

ただし過剰に行うと市場操作などに該当する危険性があることも頭に入れておきましょう

 

不正な目的でクロス取引が行われた場合証券取引法違反に該当する可能性があります

 

例えばクロス取引を行うことで一時的に株価を操作し他の投資家から利益を得ることができる場合がありますこのような行為は市場の公正性を損ねることになるため注意が必要です

優待クロス取引とは

優待クロス取引とは株主優待を獲得するために行われるクロス取引の1種で通常のクロス取引と異なり株主優待権利落ち日の前日に行われます

 

株主優待権利落ち日とは株主優待を受けるために株主になっていなければならない期日のことです

 

この期日を過ぎると株主優待権利が認められなくなります

 

優待クロス取引では株主優待権利落ち日前日に同じ銘柄に対して同じ数量を買いと売りでクロス取引することで株主優待権利を確保することが可能です

 

例えばある株式が1,000円で年に1回の株主優待がある株式の場合1 1,000円を10株買い注文を出し同時に1,000円で10株売り注文を出します

 

するとこの注文が同時に約定することにより買いと売りが相殺され株主優待をもらえるという仕組みです

 

もしもこの銘柄の株主優待が1株につき500円分の商品券であった場合10株保有することにより5,000円分の商品券を受け取ることができます

 

また株を長期間保有する必要がなく短期間で優待を獲得することができるので資金効率が高くなるのも利点です

 

ただし手数料や売買価格の差額などによる損失が発生するリスクはゼロではない点は理解しておかなければなりません

優待クロス取引のメリット

優待クロス取引は株主優待を受け取れること以外にも次のようなメリットがあります

短期保有で資金効率アップが図れる

優待クロス取引を利用することで株式を短期間で取引して株主優待の権利を得ることができます

 

基本的に株主優待を得るためには株式の長期保有が必要ですしかし優待クロス取引を利用することで短期間で株主優待を得ることができるのです

 

資金を長期間拘束することなく効率的に運用することができるため資金効率が高くなるのは言うまでもありません

 

長期保有と比べて同時に複数のポジションを持つことができる優待クロス取引の方が効率的に資金を使えるため同じ資金でより多くの利益を得ることができる可能性があります

 

特に資金が豊富でない投資家にとって資金不足が原因で欲しい銘柄を泣く泣く見逃すケースがしばしば発生しますが優待クロス取引を利用することでより多くのチャンスをものにすることができるようになるでしょう

リスクヘッジできる

クロス取引では同時に売りと買いの注文を出すことによって買いの含み益と売りの含み損が発生します

 

この含み益と含み損が相殺されることでリスクヘッジとなり株価がどちらに動いても損失を抑えることができるのです

 

リスクヘッジをする方法は分散投資オプション取引など複数ありますがクロス取引は他のリスクヘッジ方法に比べて取引が比較的簡単であることが人気の理由の1つです

 

例えばオプション取引は多くの知識や経験が必要となるため初心者には敷居が高いとされています一方でクロス取引は現物取引と信用取引の知識があればできるので比較的手軽にリスクヘッジを行うことが可能です

優待クロス取引の注意点

優待クロス取引は株価変動リスクを避けながら株式優待をもらえる人気の投資手法ですがいくつか注意点があるので解説していきます

ザラ場中にクロス取引を行ってはいけない

株式市場が開いている時間帯をザラ場と言いこの時間のクロス取引は市場操作とみなされ法律で禁止されている仮装売買扱いになってしまう可能性がありますクロス取引を行う際は株式市場が開いていない時間帯に注文するようにしましょう

 

また証券会社によってはクロス取引の注文に制約を設けている場合がありますので事前に証券会社のホームページなどをよく確認するようにしましょう

コストがかかる

クロス取引をする際は信用取引を用いる必要があります信用取引には制度信用と一般信用の2種類があり制度信用は貸株料は安いですが高額の逆日歩が発生します

 

一般信用を使えば逆日歩の支払いはありませんが高めの貸株料と手数料を証券会社に支払うことになります

在庫不足

信用売りをするには株式を借りる必要があります欲しい銘柄の在庫がなければ借りられず取引不可になるケースがあります特に人気銘柄になると在庫がなくなってしまうため在庫確認は早めにしておきましょう

信用売りの対象銘柄ではない可能性がある

信用取引では借りられる銘柄なのかをまずチェックする必要があります

 

制度信用では制度信用銘柄と貸借銘柄に指定された株しか取り扱っていません一般信用売りでは制度信用で取引できない銘柄も売買でき各証券会社が銘柄を指定しています

 

一般信用を使うのか制度信用を使うのかで銘柄選びが変わってくる点にも注意しましょう

配当落調整金がかかる

優待クロス取引をすることで株主優待とともに配当金を受け取れることがありますが信用売りしてると逆に配当金を支払わなければならないというシステムがありますこれを配当落調整金と呼びます

 

優待クロス取引で株主優待はもらえますが配当金に関しては調整金を徴収されてしまうため全額受け取ることはできません

優待クロス取引のやり方

優待クロス取引は以下の3ステップで始められます

権利付最終売買日を確認する

株主優待はその銘柄をいつ保有していてももらえるというものではありません株主優待をもらうには権利付最終売買日までに株式を買う必要があります

 

  • 権利付最終売買日…株主としての権利を得ることができる最終売買日のことで権利確定日の2営業日前

 

権利確定日の当日に株を買っても株主優待や配当金はもらえないので注意しましょう

 

  • 権利確定日…株主の権利株主優待や配当金をもらう権利を得ることが確定する日

 

権利付最終日は権利確定日を含め3営業日前に設定され例えば3月末に決算がある銘柄は331が権利確定日30日が権利落ち日29日が権利付最終売買日です

 

※土日祝日は証券会社が休みなので営業日は平日のみです

 

なお権利確定日は必ずしも月末ではないので企業や証券会社のホームページなどで確認しましょう

現物買いと信用売りを同時に発注する

権利付最終売買日までに現物買い注文と信用売り注文を同時に発注します

 

現物買いと信用売りは同じ株数同じ値段で発注しないとクロス取引の意味がなくなってしまうので寄り付き前に成行注文を出しておきましょう

権利落ち日以降に現渡で返済する

株主優待目的の売買の場合は権利落ち日以降なら株を売っても問題なく株式優待を受け取れます

 

  • 権利落ち日…権利付最終売買日の翌営業日

 

権利落ち日以降に現物買いした株と信用売りした株を相殺するため現渡げんわたしを行います

 

  • 現渡…信用売りした株を保有している現物株を返却して返済すること

 

なぜ現渡で返済するかというと現物で持っている株を売るときの売買手数料と信用売りを返済するときの売買手数料がかからないからですこれによりコストを抑えてクロス取引ができるようになります

クロス取引は数量ミスにも要注意

クロス取引で注文する際買い株数と売り株数のチェックは必須特に複数の銘柄でクロス取引する場合は何度も見直すことが大切です

 

例えば12,000円の銘柄を現物買い100信用売り1,000株で発注してしまった場合価格差は180万円売り株数が多いと株価が上がれば損失になるため株価が下がることを祈るしかありません

 

株主優待を獲得しながら株価変動のリスクを回避できるクロス取引ですがちょっとしたミスで思わぬ損失を出さないよう気をつけましょう

情報提供:クロス取引をわかりやすく解説!活用方法やメリットデメリットは?
※この記事は投資の参考となる情報提供を目的としたもので、掲載企業の株式についての投資判断あるいは株価に対する動向に関する助言を行うものではありません。当記事に投資勧誘を意図するものはなく、投資の決定はご自身の判断と責任でなされますようお願い申し上げます。記事に記載された内容は取材時の内容を一言半句違わず記載しているものではなく、話の流れ等が分かりやすいよう幾らか加筆している部分がございます。また、記事に記載された内容等は取材・作成時点のものであり、正確性・完全性を保証するものではなく、今後予告なく修正、変更されることがあります。一部の数値についてはティッカートークが算出しているため、各企業の開示資料とは異なる場合があります。また、発行体の確認を受けていない場合もあります。

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