副業とは、本業以外に収入を得るために行う仕事やビジネスを指し、例えば会社員が夜間や週末に別の仕事をして報酬を得る場合などが副業にあたります。

株式投資の場合、株を売買することで得られる利益は「売買差益」と呼ばれ、報酬や給与といった収入には該当しません。

つまり、株式投資は報酬を得るための活動ではなく、あくまでも資産運用の1種です。

法律上では株式投資は副業に該当せず、副業禁止の会社でも社内規定で株式投資が明示的に禁止されていなければ、従業員が株式投資を行うことは基本的に問題ありません。

株式投資は副業のうちに入りませんが、会社によっては社内規定によって株式投資を禁止しているところもあります。その目的は主にインサイダー情報漏洩防止や業務への影響を防ぐことです。

具体的にインサイダー取引には以下のようなものがあります。

• 企業が利益を発表する前に、その情報を知っている者が自社株を買ったり売ったりする
• 企業がM&Aを発表する前に、その情報を知っている者が関連企業の株を買ったり売ったりする
• 企業が製品の発売を計画していることを知っている者が、その企業の株を買ったり売ったりする

インサイダー取引は、その情報を持たない一般の投資家と比べて優位に立った状態での株式売買を行うことができるため、不公正な取引とされ、厳しい罰則が設けられています。

自社や取引先に関する非公開情報を利用して株式投資をすることは認められていません。

会社員が自社の株式を購入することは可能ですが、会社によっては一定期間内の取得量や方法に制限があるので確認が必要です。

副業として株式投資をする場合、会社に知られずに行いたいと考える人もいるかもしれません。そのような場合には、以下の方法があります。

• 口座開設の際に「特定口座（源泉徴収あり）」を選ぶ
• 確定申告の際に「普通徴収」にチェックを入れる

株式投資が会社にバレる原因のほとんどは、住民税です。

住民税は、前年度の収入によって納税額が決まるため、株で利益を出すと、その分税金も上がります。

会社は、従業員の収入から住民税を控除し、市町村に納付するため、住民税の支払いによって従業員の株式投資がバレることがあります。

しかし、「特定口座（源泉徴収あり）」や「NISA口座」を選択することで、株の利益に関する納税対応を証券会社が代行してくれるため、会社にバレることはありません。

これらの口座は基本的に確定申告は不要なので、面倒な手続きがかからないのもメリットと言えます。

特定口座（源泉徴収なし）や一般口座を使っている場合も、確定申告の際に普通徴収を選ぶことで、住民税の納税分を自分で直接納付することができ、これにより会社からの給与から住民税が源泉徴収されず、会社に副業での株式投資がバレる可能性が低くなります。

また、会社の人間に株式投資について話してしまうと、それが会社内で広まり、会社にバレることにつながる可能性があるため注意が必要です。

忙しい会社員にとって、短期投資やデイトレードは時間的な制約が大きく、リスクも高いため不向きと言えるでしょう。短期的な価格変動に左右されず、安定した収益をもたらすことが期待できる長期投資の方がおすすめです。

長期投資は投資に関する知識やスキルがなくても取り組みやすく、銘柄によっては配当金や株主優待を得ることもできるというメリットもあります。

また投資信託も初心者にも取り組みやすい投資方法です。

投資信託は、複数の企業の株式や債券を組み合わせたポートフォリオを運用するため、リスク分散効果が期待できるうえ、運用を任せるファンドマネージャーがいるので、自分で企業の情報収集をする必要がなく、忙しい会社員にもおすすめです。

株式投資の始め方は以下の通りです。

• 証券会社で口座を開設する
• 投資の目的と方針を決める
• 銘柄を選ぶ
• 買い注文を出す
• 決済注文を出す

株式投資をするためには、証券会社で口座を開設する必要があります。

口座開設の申し込みフォームに個人情報、電話番号、メールアドレス、取引口座の種類、投資目的、取引の経験や知識などを記入。

審査を受け、口座開設の承認が下りたら証券会社から取引口座の番号やパスワードが送られてくるので、取引口座に入金します。これにより取引を始められる状態になります。

投資する目的やリスク許容度などを考慮して、自分に合った投資方針を決めましょう。

投資の目的は例えば、老後のための資産形成、子どもの教育費用のための資金確保など。目的があれば、どのような投資商品を選ぶべきかが明確になります。

また投資を始めるときには、どうしても目標利益に目を向けがちですが、どの程度のリスクを取るかを決めることも大切です。

リスク許容度が高い場合は、株式などの投資商品を選ぶことができますが、リスク許容度が低い場合は、投資信託などの安定した運用をすることが適している場合もあります。

自分の投資方針に合った銘柄を選びます。銘柄選びには、企業の業績や財務状況、株価の推移などを分析することが重要です。

企業のIRや決算資料、ニュース記事などから情報を収集したり、PERやPBRといった指標を使って、企業の株価が適正かどうかを判断していきます。

配当を重視する場合は、配当利回りの確認も忘れてはいけません。

銘柄を選んだら買い注文を出します。注文方法には、成行注文や指値注文などがあります。

成行注文とはその時点で市場で成立している最良の売買価格で取引を行う注文のことです。

注文した時点で取引が成立し、即時に売買が完了するため、素早い約定が期待できますが、株価が急激に変動する場合には、約定価格が想定外の価格になることがあります。

指値注文とは指定した銘柄を指定した価格で買いたい場合に出す注文のことで、注文価格が指定されているため、指定価格以下にならなと約定しないというデメリットがあります。

決済注文とは、保有している株式を売却する注文のことです。

売却したい銘柄と売却数量、注文の種類（成行注文、指値注文、逆指値注文など）を指定して出すことができます。

決済注文により、価格が上昇した保有株を売却して利益を得ることができるとともに、株価が下落した場合は、損失を抑えるために損切りとして決済注文を出すこともできます。

株式投資を始めるときには稼ぎたい気持ちが先行しがちですが、初心者が株式投資をする際は以下のような注意点を意識しましょう。

デイトレードは、1日以内に株式を買って売る短期的なトレードのことで、市場の動きを正確に予測する能力や高いストレス耐性が必要です。また、短期的な変動が激しいため、思わぬ損失が出ることもあります。

初心者はまず、長期的な視点で安定的な企業や業種に注目し、投資の基本的な知識を身につけることから始めることをおすすめします。

株式投資にはリスクがつきものです。まずは自分のリスク許容度を知るところから始めましょう。

リスク許容度は、個人がどの程度のリスクを取ることができるかを示す指標であり、貯蓄額、投資経験などを考慮して決定されます。

リスク許容度を超えた投資をすると、損失が大きくなる可能性があったり、投資に関するストレスや不安が増え、投資を継続することが難しくなる場合もあります。

株価の上下によって感情的になって投資判断を誤ることがあるため、冷静な判断を心がけることが必要です。

トレードルールを作ることで、感情的な決断を避け、投資判断を客観的に行うことができます。

トレードルールを作るにはまず投資額を設定し、自分が許容できるリスクや損失額を明確にしましょう。

株式投資は副業には該当せず、社内規定で禁止されていなければ基本的に安心して取引できます。

ですが、会社にバレたくない場合は、住民税の対応や株を始めたことを秘密にすることは忘れずに。

投資は資産形成の1つであり、多くのメリットを受けることができます。最初は少額からでも無理せずに投資を始めてみましょう。