ミーム株とは、アメリカの掲示板タイプのSNSであるRedditや、その他SNS・インターネットに端を発して特定の銘柄に注目が集まり、短期間かつ多くの個人投資家による投資によって、株価が高騰する株のことです。

ミームという名称は、インターネットミームに由来します。インターネットミームは、ネット上で流行している画像や動画が、たくさんの人に真似されることで拡散していく文化のことです。

ミーム株は、インターネット上でまるでブームのように、多数の個人投資家たちによって一気に買われることによって、株価が10倍や100倍といった値上がりを見せるケースがあります。株価が高騰する一例を確認してみましょう。

①機関投資家によって空売りされていた銘柄にターゲットを絞り、SNS上で個人投資家に買いを呼びかけ、株価を高騰させる

②空売りにより、株価が下落することで利益を狙っていた機関投資家は、高騰した銘柄の保有を諦め損切りをするために、大量の買い戻しを行う

③結果的に、買いが買いを呼ぶ流れへと発展し、株価の暴騰につながる

このミーム株の値動きは、会社の業績や時価総額、将来的な成長性といった一般的に株価を左右する要因とは関係ありません。つまり、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析を必要としません。経済にあまり明るくない投資家でも、SNSやインターネット上でアンテナを張ることで、ミーム株に投資することが可能というわけです。

なお、ミーム株同様に株価が高騰する株式に「仕手株」が挙げられます。仕手株は、特定の投資家たちによって株価が戦略的に操作されている銘柄です。どちらも一般的に株価を左右する要因とは関係なく、値動きが見られるため注意が必要です。

これまでのミーム株の事例として、代表的なものをご紹介します。

ミーム株として、世間に広く知れ渡った銘柄として「ゲームストップ」が挙げられます。ゲームストップは、アメリカでビデオゲームの販売を行う企業です。2020年12月から翌年1月にかけて、株価が高騰しました。

当時、ゲーム業界はオンラインゲームが主流となり、ゲームストップ株は低迷していました。業績の悪化を受けて、大量の空売りを仕掛けた機関投資家の動きがReddit上で話題となり、反発する多くの個人投資家がゲームストップ株を買った結果、株価の高騰につながりました。

2020年は1株1ドル前後だったゲームストップ株は、翌年1月下旬には80ドルを超える値動きを見せました。一方で2月初旬には16ドルまで下落するなど、株価が乱高下する展開でした。

このケースでは、機関投資家が多くの損を抱え、個人投資家が大きな利益を得る結果となりました。

日本ではストップ高・ストップ安といった値幅制限の市場ルールが存在するため、アメリカほど大きな値動きのミーム株が出現することはありません。

日本の株式市場で、ミーム株として名前が挙がる銘柄は「ひらまつ（2764）」です。

ひらまつは、2021年5月中旬から3週間の間に、60％の値上がりを見せました。疑義注記銘柄で、機関投資家による保有が少なかったことから、大きな動きにつながったと言われています。

大きな値動きが期待できるミーム株ですが、積極的に投資して良いのでしょうか。ミーム株が危険と言われる理由を確認しましょう。

前述のとおり、ミーム株はインターネットやSNS上で投資銘柄としてフューチャーされるため、通常の株式投資で参考にするテクニカル分析やファンダメンタルズ分析が、あまり役に立ちません。

つまり、世間一般的に言われている要因では値動きが判断できない、ということになります。いつトレンドが収束するかの予測も立てられず、一か八かの賭けのような投資になってしまう可能性がある点を認識しておきましょう。

株価急騰の期待がある一方で、暴落と隣り合わせである点も頭に入れておく必要があります。

急激な株価の値上がりには、企業業績などの根拠がないため、株価の妥当性が乏しい状態と言えます。この点からもいつ暴落しても良い状況であることが分かります。

また、ミーム株として注目された時点で、既に株価が高騰しているケースが多いため、その後、短期間で暴落するリスクがあります。買付および売却のタイミングがズレると、大きな損失を被るケースがあることを覚えておきましょう。

ミーム株は、投資よりも投機の側面が強いため、投資初心者にはハードルが高いと言えます。

ミーム株に投資して利益を得たい場合、まずはSNSやインターネット上で注目されている銘柄がないか、リサーチしてみましょう。併せて、積極的に空売りされている銘柄がないかを確認しておきます。

空売りに適した下降トレンドにある銘柄や、空売りが多い銘柄をランキングしているサイトもありますので、そちらを参考にしてみるのも良いでしょう。

ミーム株への投資は10倍以上の利益が期待できる反面、予測が難しくリスクも高くなります。ネットやSNSでのアンテナを常に高く持ち、話題になっている銘柄をいち早く察知する必要があります。

米株式市場は値幅制限を設けていないため、日本よりもミーム株が出現しやすい傾向にあります。ミーム株への投資に興味がある方は、まずはリスクを十分に理解するところから、始めてみましょう。