仕手株とは、特定の投資家によって株価が意図的に操作されている銘柄のことです。

この仕手株は、「仕手筋」と呼ばれる、大量の株式を売買し株価を操作する投資家や投資家集団によって行われています。

株価は通常、ニュースなどの材料が出たときに変動することが多いですが、まれに何も情報が出ていない中で急激に株価が上下することがあります。

このような状態の銘柄は、仕手株である可能性が高いため注意が必要です。

株価を操作する仕手株の仕組みについて詳しく見ていきましょう。

仕手株は大きく3つの流れで行われます。

まずは、仕手筋が特定の銘柄を対象に買い集めます。

このとき対象となる銘柄は、「株価が安く出来高が少ない」という特徴があります。

この段階では、まだ他の投資家に目をつけられないよう、少しずつ買い集める場合が多いです。

購入予定の株式数を買い集めた投資家は一気に大量の買い注文をし、出来高を急増させて他の投資家にアピールします。

すると、何も知らない投資家は「まだ株価が上がるのでないか」「これから大きな発表があるのではないか」と買い注文を入れます。

投資家からの買いが殺到することで「買いが買いを呼ぶ状況」を作り出し、株価はどんどん上がっていきます。

株価を高騰させたら、仕手筋は大量に保有している株を一気に売り、利益確定します。

仕手筋による大量の売りによって株価が急落し、高値で株を購入した投資家は含み損を抱えます。

何も知らない投資家は、「損失が少ないうちに損切りしたい」という思惑から売りが殺到。

すると今度は「売りが売りを呼ぶ」状況になり、ストップ安になることもあります。

仕手筋は、安い株価で購入し高値で売却しているため儲かり、高値づかみをした個人投資家は損失を負ってしまうでしょう。

仕手株として狙われやすい銘柄の特徴は以下の3点です。

• 株価が安い
• 出来高が少ない
• 株式発行数が少ない

この3点全てが揃っていなくても、仕手株の対象になることは十分考えられます。

普段株価が低く出来高が少ない銘柄が、不自然に高騰している場合は仕手株の可能性があるため、投資する際は注意しましょう。

仕手株になったと言われている銘柄の例として、中小企業ホールディングス（1757）があります（旧社名：クレアホールディングス株式会社　2021年4月に商号変更）。

26円前後で推移していた株価が2020年7月に一気に急騰し、7月16日には一時200円の高値を記録しました。

その後、一時的にリバウンドを見せますが11月には41円まで下落。

上記で仕手株として狙われやすい銘柄の特徴を解説しましたが、中小企業ホールディングス（1757）が当てはまっているか確認しましょう。

• 銘柄：中小企業ホールディングス（1757）
• 株価：20～40円
• 出来高：70万～80万
• 株式発行数：2億5,825万株

株式発行数は仕手株にしては多いですが、株価が低く出来高は少ないです。

このような銘柄は仕手株になりやすいと覚えておきましょう。

仕手株は相場操縦行為に当たると考えられた場合、犯罪になる可能性があります。

「相場操縦」とは、相場を意図的に操作して他人を誤認させ、自己の利益を図ろうとする行為です。

違反者には10年以下の懲役もしくは3,000万円以下の罰金や、課徴金納付命令の勧告が行われます。

仕手株はリスクがあるため、特に初心者は購入を避けたいはず。

それでは実際に仕手株を見つけた際や購入した際の対処法をご紹介します。

購入前であれば、前述した狙われやすい銘柄の特徴に当てはまっていないか確認し、その銘柄に株価上昇要因がないかチェックしましょう。

ネット上には仕手株に関する情報や銘柄を取り上げている「仕手株情報サイト」があるため、銘柄の購入前に目を通すことをおすすめします。

あらかじめ仕手株と判断できれば問題ありませんが、購入時に仕手株だと気付けないこともあるかもしれません。

万が一仕手株の可能性がある銘柄を買ってしまった場合は、損失が少ないうちに即損切りしましょう。「もしかしたら株価が戻るかもしれない」と待っていては、さらに含み損が増え塩漬けになる可能性があります。

株価が上昇しているからといって情報を調べずに購入してしまうと、大きな損失になりかねません。

そのため、まずは仕手株になる銘柄の特徴を押さえ、不自然に高騰している株価には飛びつかないことをおすすめします。

仕手株の見極め方や逃げ方を頭に入れ、健全な株式投資をしてください