SNS
配当控除について解説
配当金をもらったとき確定申告は必要?
質問する
投資の知識

配当控除とは?確定申告した方が良いケースと計算方法

2023.03.08

証券コード

配当所得を得た際確定申告をすると受けられる配当控除配当控除を受けることによるメリットもありますがデメリットも存在します当記事では配当控除の基礎知識をはじめ配当金などをもらった人のうち確定申告した方がいいケースや注意点を解説しています

※個人投資家から事前に募った質問もございます。

目次

  • 01.

    配当控除とは?基礎知識をおさらい

  • 02.

    配当金の税金の処理は3種類

  • 03.

    配当所得で確定申告した方が良いケース

  • 04.

    配当控除を利用する際の注意点

  • 05.

    配当控除の計算方法

  • 06.

    投資信託は控除率が違うので注意

  • 07.

    思わぬ損をしないよう注意!状況に合わせた選択を

配当控除とは?基礎知識をおさらい

配当控除とは配当所得がある際に総合課税で確定申告をすると適用される税額控除のことです

 

国内株式の配当の場合法人税が課された後の利益が株主に分配されます加えて所得税が課されるため二重課税となりますこの二重課税を防ぐための制度が配当控除です

配当所得とは

配当所得とは株式の配当金や投資信託の分配金に関わる所得のことです

上場株式等の配当所得は2037年まで復興特別所得税を含め所得税15.315住民税5の税率で源泉徴収されます

 

配当控除を受けることができる配当所得には剰余金の配当日本国内に本店を有する法人利益の配当剰余金の分配金銭の分配投資信託の収益の分配などが含まれます

配当控除の対象にならない配当

配当控除の対象にならない配当は全部で11項目あります項目については以下の通りです

  1. 基金利息
  2. 私募公社債等運用投資信託等の収益の分配に係る配当金
  3. 国外私募公社債等運用投資信託等の配当等
  4. 外国株式指数連動型特定株式投資信託の収益の分配に係る配当等
  5. 特定外貨建等証券投資信託の収益の分配に係る配当等
  6. 適格機関投資家私募による投資信託から支払いを受けるべき配当等
  7. 特定目的信託から支払いを受けるべき配当等
  8. 特定目的会社から支払いを受けるべき配当等
  9. 投資法人から支払いを受けるべき配当等
  10. 確定申告不要制度を選択したもの
  11. 申告分離課税制度を選択したもの

所得控除と税額控除の違い

所得控除税額控除両方とも税金を減らすための制度ですがそれぞれ異なる役割を持っています

 

所得控除とは所得税を計算する際の基準となる所得を軽減するための控除です一方税額控除とは納税者が支払う税金そのものを軽減するための控除です

配当金の税金の処理は3種類

配当金の税金処理は以下の3種類がありますそれぞれの特徴を理解しご自身に合った処理方法を選択しましょう

 

  • 申告不要制度確定申告なし
  • 総合課税制度確定申告あり
  • 申告分離課税制度確定申告あり

 

それでは配当金の税金の処理について1つずつ解説します

申告不要制度確定申告なし

申告不要制度とは配当金を受け取っても確定申告をする必要がない税金の処理のことです手続き方法は証券会社で株式運用口座を作成する際源泉徴収ありの特定口座を選択するだけと簡単です

 

ただし確定申告不要制度を選択すると配当控除が受けられなくなるというデメリットもあります

総合課税制度確定申告あり

総合課税制度とは会社員の給与所得や自営業者の事業所得など他の所得と配当所得を合算超過累進課税を適用する方法です総合課税で算出された税額と配当所得の源泉徴収額を比較して源泉徴収税額のほうが多い場合に超過分が還付されます

 

確定申告を行う手間はかかりますが配当控除を受けられるメリットがあります

申告分離課税制度確定申告あり

申告分離課税制度特定の所得を他の所得と切り離して課税される制度です申告分離制度を選択すると売却損と配当所得を損益通算できるため節税になりますまた損益通算して残った売却損は3年間繰り越すことができます

 

ただし申告分離課税制度は確定申告をしても配当控除を受けることができないため注意が必要です

配当所得で確定申告した方が良いケース

ここからは配当所得で確定申告した方が良い2つのケースを紹介します

 

  • 所得が695万円未満である
  • 株式投資をした時に売却損がある

 

それでは1つずつ解説します

所得が695万円未満の人は配当控除を利用した方が得

配当金を源泉徴収で納税すると税率は20.315%ですが配当所得を含めた実効税率が20.315%より低ければ総合課税で確定申告した方が有利になります

 

具体的には所得が695万円未満の方は税率20.315%より低くなるため確定申告で配当控除を受けた方が得になります

売却損失がある人は申告分離課税制度で損益通算を

株式などの売却損失がある人は総合課税で配当控除を受けるのではなく申告分離課税制度で損益通算することをおすすめします損益通算とは配当所得の利益と売却損失を合算することを指します

 

例えば配当所得が30万円売却損失が-20万円の場合合算した課税対象は10万円になり所得額が低くなる分節税につながります

 

また損益通算をしてもなおマイナスが多い場合は翌年以降3年間赤字を繰り越すこともできますただし大口株主の場合や非上場株式の配当の場合は申告分離課税制度を選択できないためご注意ください

配当控除を利用する際の注意点

配当控除を利用する際はメリットだけでなく注意点もあるため十分確認しておきましょう配当控除を利用する際の注意点は以下の2点です

 

  • 国民健康保険料が高くなることがある
  • 扶養から外れる可能性がある

 

配当控除を利用する際の注意点について詳しく解説します

国民健康保険料が高くなることがある

国民健康保険とは主に自営業者などが加入できる制度です配当控除を利用する際国民健康保険の算定の基礎となる所得割算定基礎額に上場株式等の譲渡配当所得が加算されるため国民健康保険料も増加する可能性がありますなお申告不要制度の場合は算定基礎額に配当所得は含まれません

 

国民健康保険の算定基準は自治体ごとに異なるため各自治体の保険料率を確認しましょう

扶養から外れる可能性がある

配偶者や親の扶養に入っている場合確定申告をすると扶養から外れてしまう可能性があるため注意しましょう

 

例えば給与所得が15万円株式の配当所得が35万円ある場合の例を見ていきます確定申告をしなければ給与所得の15万円のみが合計所得金額に算入されますよって市県民税はかからず扶養に入ることが可能です確定申告をした場合給与所得の15万円に配当所得の35万円の合計50万円が合計所得金額に算入されることになりますそのため市県民税がかかるだけでなく配偶者や親族の税負担が増えてしまいます

 

以上のように確定申告をすることで税金が発生したり扶養から外れたりというデメリットも存在しますそのため配当控除を受けるべきかどうかを判断することをおすすめします

配当控除の計算方法

配当控除の税額は配当所得以外の課税所得が1,000万円以下か1,000万円超かで異なります計算方法は以下の通りです

 

  • 課税総所得金額が1,000万円以下の場合:配当所得の金額×10
  • 配当所得以外の金額の課税総所得金額が1,000万円を越える場合:配当所得の金額×5
  • 配当所得を加えると課税総所得金額が1000万円を越える場合:
  • 1,000万円以下の配当所得の金額×10%+1,000万円を越える配当所得金額×5

投資信託は控除率が違うので注意

投資信託の場合は控除率が変わるため注意が必要です

 

  • 課税総所得金額が1000万円以下の場合:配当所得の金額×5
  • 配当所得以外の金額の課税所得が1000万円を越える場合:配当所得の金額×2.5
  • 配当所得を加えると課税所得が1000万円を越える場合:
  • 1000万円以下の配当所得の金額×5%+1000万円を越える配当所得金額×2.5

 

特定外貨建等証券投資信託以外の外貨建等証券投資信託の収益分配にかかる配当所得については税額が上記利率の半分になります

参考:No.1250 配当所得があるとき(配当控除)|国税庁 (nta.go.jp)

思わぬ損をしないよう注意!状況に合わせた選択を

配当控除を受ける場合はメリットや注意点をしっかり理解することが重要ですご自身が配当控除を受けるメリットがあるかどうかを確認したうえで確定申告しなければ損してしまう可能性があるからです配当所得がある方はこの記事を参考にしてぜひ一番得する方法を選択してください

情報提供:配当控除とは?確定申告した方が良いケースと計算方法
※この記事は投資の参考となる情報提供を目的としたもので、掲載企業の株式についての投資判断あるいは株価に対する動向に関する助言を行うものではありません。当記事に投資勧誘を意図するものはなく、投資の決定はご自身の判断と責任でなされますようお願い申し上げます。記事に記載された内容は取材時の内容を一言半句違わず記載しているものではなく、話の流れ等が分かりやすいよう幾らか加筆している部分がございます。また、記事に記載された内容等は取材・作成時点のものであり、正確性・完全性を保証するものではなく、今後予告なく修正、変更されることがあります。一部の数値についてはティッカートークが算出しているため、各企業の開示資料とは異なる場合があります。また、発行体の確認を受けていない場合もあります。

総括

SHARE
1