投資をするうえで、勉強は欠かせません。知識がないまま始めると、大きな失敗をする可能性があります。
しかし、勉強の範囲が広すぎて、何から手をつけていいのかわからないと悩む初心者も多いでしょう。
株式投資は、書籍やSNSなど、いろいろな方法で学ぶことができます。いずれの方法にも特徴やデメリットがありますので、自分に合った勉強方法を見つけることが重要です。
今回は、初心者がゼロから始める株式投資の勉強法を7つのステップで解説します。
※個人投資家から事前に募った質問もございます。
目次
01.
1. 株式投資の仕組みを学ぶ
02.
2. リスクとリターンについて学ぶ
03.
3. 株の始め方・買い方・売り方を学ぶ
04.
4. 株式投資にかかる税金を学ぶ
05.
5. 銘柄の選び方を学ぶ
06.
6. 分析手法を学ぶ
07.
7. 投資手法を学ぶ
08.
どうやって学ぶ?株式投資の効率的な勉強方法
09.
勉強せずに儲けられるほど投資の世界は甘くない
1. 株式投資の仕組みを学ぶ
株式投資の仕組みを理解していないと、何が原因で株価が動くのかがわからず、株価が上がりそうな銘柄の分析を行えません。
株式とは企業が資金を調達するために発行するもので、企業が株式市場に上場することで、その企業の株式を誰でも自由に売買できるようになります。
株式を売買するには、証券会社に口座を作り、証券会社を通じて売買の注文を出す形になります。
株式投資の基本は、株式を安く買って高く売ることによって出る利益(売買差益)を得ることです。例えば、1,000円で買った株を1,500円で売れば、500円の利益を得ることができます。
また、株式投資で得られる利益の種類は、売買差益のほかに配当や株主優待もあります。
株を買いたい人が多ければ株価は上がり、株を売りたい人が増えれば株価は下がりますが、売り買いのバランスに大きな影響を与えるのが下記の要因です。
- 経済情勢
- 金利政策
- 為替
- 自然災害や戦争
- 企業業績
- 新製品・新サービスの発表
- 配当金の増額・減額
これら以外にも、株価に影響を与える要因にはさまざまなものがあります。投資先を検討する際には、対象となる企業の動向だけでなく、世界の動きにも考慮する必要があります。
2. リスクとリターンについて学ぶ
株式投資は危ないというイメージを持っている人も多いと思いますが、リスクとリターンについて学べば、不安なく取引することができます。
株式投資のリスク
株式投資は資産を増やせる一方で、同時にリスクも存在します。
まず1つ目に、株価は日々上がり下がりするので「株価変動リスク」があります。
投資した金額が返ってこない「元本割れ」は、この株価変動リスクの代表的な例です。
それ以外にも企業が倒産する「信用リスク」、株式を売りたくても買い手がおらず、売ることができなくなる「流動性リスク」、金利が上がったり下がったりして株価に影響を及ぼす「金利変動リスク」、円安・円高による「為替変動リスク」などが存在します。
これらのリスクを回避する方法として、分散投資が挙げられます。
分散投資は投資先を複数箇所に分ける方法が一般的に知られていますが、それだけが分散投資ではありません。
投資のタイミングを分けることも効果的です。例えば1度に1,000株買うのではなく、200株ずつ5回に分けて購入することでリスクを分散することができます。
株価は日々変動しますから、下がったら買い増す形にすれば、同じ株数でも合計額は安くなります。
安く買えれば、何かしらの理由で株価が急落した際にダメージが軽く済むでしょう。
また、投資先を分散するときには、同一業種に投資するのではなく、小売業+海運業や情報・通信業+サービス業など、いろいろな業種を組み合わせて投資するのがおすすめです。
他にも、景気敏感株とディフェンシブ株の組み合わせも考えるといいでしょう。
- 景気敏感株…景気の影響を受けて株価が変動しやすい株。例)鉄鋼、化学など
- ディフェンシブ株…景気に左右されにくい株。例)医薬品、電力など
投資家がコントロールできないリスクも多いので、分散投資や余剰資金での投資を心がけましょう。
キャピタルゲインとインカムゲイン
株式投資の利益には、キャピタルゲインとインカムゲインの2種類があります。
キャピタルゲインは保有する株式を売却して得た利益のことで、インカムゲインは配当金など、継続的にもらえる利益のことです。
例えば、1株1,000円で100株(10万円分)購入し、株価が2倍になったときに全て売却した場合、利益は10万円になります。この利益がキャピタルゲインです。
キャピタルゲインは、短期間で高いリターンを得ることができるのが魅力です。銘柄によっては数年で株価が2倍以上になるものもあります。
一方で、株価が暴落するリスクも。リーマンショックなどの経済危機の後は株価が急落し、保有株の価値が大きく下がる危険性もあります。
インカムゲインは株式投資の場合、配当金や株主優待が該当します。インカムゲインはキャピタルゲインとは違って損失が出ることはありません。
株価の短期的な変動に左右されず、安定的に配当として利益を得ることができますが、配当金の年間利回りは数%程度なので、大きな利益は期待できません。
例えば1株1,000円で100株(10万円分)で配当利回りが2%の場合、1年間に受け取れる配当金は2,000円です。
さらに、企業の業績が悪化した場合、配当や株式優待が打ち切られる可能性があります。
3. 株の始め方・買い方・売り方を学ぶ
株を買うには、証券会社に口座を開設し、その口座に入金する必要があります。
入金まで完了したら、まず買いたい銘柄・買いたい株数、注文方法、買いたい値段を決めます。注文が約定すれば、取引完了です。
基本的に株式投資の注文方法は「成行注文」と「指値注文」の2つです。
- 成行注文…現在の株価ですぐ売買するための注文方法
- 指値注文…売買したい価格を指定する注文方法
成行注文は高い確率で株式を買うことができますが、値動きが激しいと予想外の高値で買わざるを得ないケースもあります。
仮に株価が1,000円から1,300円の間で乱高下している相場で成行注文を出すと、希望価格が1,100円だったとしても、発注した瞬間に1,300円になっていたら、1,300円で買うことになります。
指値注文での買い注文は、指定した価格以下で買うことができますが、指定した価格以下にならないと買えないので、約定しないケースも。
例えば、現在の株価が1,000円で、900円で指値注文を出した場合、株価が900円以下にならないと注文が成立せず、901円までしか下がらないと、買うことができません。
売り注文の場合は、指定した株価以上であれば売ることができますが、指定した株価に達さないと約定しません。
例えば、現在の株価が900円で、1,000円に指値注文をした場合、株価が1,000円以上にならないと注文が成立せず、999円までしか上がらなかった場合は売却できないことになります。
4. 株式投資にかかる税金を学ぶ
株式投資にかかる税金は「譲渡益課税」と「配当課税」の2種類があり、利益には20.315%の税金が課せられます。
例えば、1,000円 ×500株 = 50万円分の株式を買い、株価が1,400円に上がった(1,400円×500株=70万円)時点で全て売った場合、20万円分の利益が出ます。
20万円の利益は課税対象なので、20万円×20.315% =4万630円の税金がかかり、15万9,370円が手元に残ります。
株式投資で年間20万円以上の利益が出た場合には確定申告が必要になりますが、口座開設時に特定口座(源泉徴収あり)を選択すれば、税金を証券会社が代わりに納めてくれるので、確定申告の手間を省けます。
5. 銘柄の選び方を学ぶ
株式投資において、銘柄選びは極めて重要です。
ところが、日本で株式上場している企業は約3,800社もあり、その中から株価が上昇しそうな銘柄を探すことは、初心者でなくても困難です。
また、約3,800社を1つずつ分析していくのは現実的ではありませんから、日頃から使っている製品の製造元・販売元をチェックする方法もあります。
他にも、少額から投資できる銘柄、配当金や株主優待のある銘柄を選ぶのも手です。
日頃から使っている製品の製造元・販売元
聞いたこともない企業に投資するよりも、日頃から使っている製品から投資先を選ぶといいでしょう。
ティッシュペーパーやシャンプーなどの日用品から家電製品まで、家の中を探すとかなりの製品が見つけられるはずです。
日常生活で身近な企業であれば、親しみやすさを感じるだけでなく、その企業が手掛ける製品やサービスの良さを利用者の立場から理解し、より多くの情報を集めやすくなります。
少額から投資できる銘柄
投資初心者が初めから多額の資金を投じるのは無謀です。
リスクを軽減するために少額ずつ投資して、徐々に経験値を上げていきましょう。
日本の株式は最低購入単位が100株であることが通常で、最低購入金額が数十万円以上になってしまうことも。そうなると資金的に1銘柄しか買えないなんてケースも出てきます。
そんなときは、1株単位で購入できる「単元未満株」や10株単位の「株式ミニ投資」を利用するのもありです。
必要な資金をぐっと下げられますし、リスク面では大きな損失を負う心配が減るとともに、分散投資しやすいというメリットがあります。
ただし、一般的な株式投資にはないデメリットも存在します。
- リアルタイムで取引ができない
- 指値注文ができない
- 銘柄が限られている
- 取り扱っている証券会社が限られている
- 手数料が割高
上記のようなマイナス面も念頭において、銘柄選びをしましょう。
配当金や株主優待から選ぶ
株式投資では、配当金や株主優待をもらえる銘柄があります。
配当金が多い銘柄を選びたいときは、「配当利回り」と「配当性向」を調べてみましょう。
配当利回り…企業が株価の何%を配当金として支払うかを示す指標。企業の業績・株価によって変動する可能性がある
例えば、株価2,000円で配当金が20円の銘柄では、配当利回りは1%(20円÷2,000円)です。もし株価が1,500円まで下落したら、配当利回りは約1.3%(20円÷1,500円)に変わります。
配当性向…当期純利益のうち、何%を配当金に回したかを示す指標
配当性向が高い企業は、株主に多くの利益を還元していると言えますが、その反面、企業の手元に残る資金が少なくなるので、設備や人材などに投資するお金が足らなくなってしまいます。
企業が今後も発展していくためには、ある程度の資金(内部留保)が必要なので、株主への還元が多すぎる企業を投資先に選ぶのは危険かもしれません。
株主優待には自社商品や割引券などさまざまな種類があり、投資している株式数が多いほど優待の内容もグレードアップします。
配当金には税金がかかるため、株主優待がある銘柄を好んで選ぶ投資家もいるでしょう。
株主優待をもらうには、権利付最終日までに株式を買わなければなりません。買った株式は翌日(権利落ち日)以降なら売却しても株主優待を受け取れます。
権利付最終日は銘柄によって異なるので、証券会社のサイトなどで確認しておきましょう。
6. 分析手法を学ぶ
株価の分析手法には、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の2つがあります。
ファンダメンタルズ分析
ファンダメンタルズ分析は、株式市場に影響を及ぼすさまざまな要因を見て株価の動きを予想するときの手法で、具体的には下記のような要因を分析します。
- 景気動向
- 金融・財政政策
- 経済指標
- 為替
- 企業の業績
国内だけではなく、海外の動向にも目を向けなければなりません。なかでも米国市場の影響は大きく、チェックが必要です。
また、米ドルなどの為替相場の変動も株式市場に大きな影響を与えます。
企業の業績を調べるには、決算資料・IR情報を見るといいでしょう。
好業績の企業の株式を買うのが基本ですが、業績内容が株価に織り込み済みで、決算資料が出たときにはもう株価が高騰していることも珍しくありません。
したがって、株式投資をする際には、企業の現状よりも将来性に注目しましょう。
テクニカル分析
テクニカル分析とは、株価の動きをグラフ化した「チャート」を見て、将来の値動きを予想する手法です。
チャート上にトレンドラインやサポレジラインなどを引いたり、テクニカル指標を置いたりすることで、値動きを分析します。
代表的なテクニカル指標には、次のようなものがあります。
1〜3はトレンド系のテクニカル指標で、相場が上昇トレンドなのか下降トレンドなのかを分析するのに使います。
5と6はオシレーター系のテクニカル指標で、買われ過ぎ・売られ過ぎを判断。買われ過ぎている場合は、そろそろ下落する可能性が高いと予測されます。
4のMACDはトレンド系とオシレーター系の両方の特性を併せ持っています。
7. 投資手法を学ぶ
株式投資の投資手法は、長期投資・中期投資・短期投資の大きく3つに分けられます。
投資期間には明確な定義はありませんが、目安としては、長期投資は株式の保有期間が1年以上のものを指すことが多いです。投資家によっては、10年以上 が長期だと言う人もいれば20〜30年だと言う人もいます。
長期投資は1回の取引で得られる利益が大きくなります。例えば500円で買った株式が10年で5,000円になるケースもあり、保有期間が長いことで、利幅が広くなるのが特徴です。
企業の将来性を見通す力が必要となるので、ファンダメンタルズ分析が重要になります。
また、長期投資は日中に株価を監視する必要がないため、平日の昼間にお仕事がある会社員にも向いています。ただし、資金を他の投資に回すことができず、良さそうな銘柄が見つかっても買えないデメリットもあります。
中期投資は数ヶ月〜半年とする場合が一般的です。また、半年〜数年の保有期間は中長期投資と定義されることもあります。
株価が2〜3倍になるのを狙う投資手法であり、長期ほどではありませんが、大きな利益を目指せます。長期投資と同様に、日中に株価を監視する必要はありません。
短期投資にはスイングトレード・デイトレード・スキャルピングの3種類があります。スイングトレードは保有期間が数日〜数週間、デイトレードは1日以内、スキャルピングは数秒〜数分です。
デイトレードとスキャルピングはギャンブル性があり、難易度が高いので初心者には不向きとされています。
ただ、短期投資は保有期間が短いので 、資金効率の良さがメリットに挙げられます。
下落しそうならすぐ損切りして、他の銘柄を購入することが可能です。1回の売買で得られる利益は少ないものの、損失も少額で抑えられます。
どうやって学ぶ?株式投資の効率的な勉強方法
これから株式投資を始めようとしている人は、次の4つの効率的な勉強方法がおすすめです。
書籍で体系的に学ぶ
まず王道の勉強方法は、書籍で学ぶことです。書籍なら、特定のカテゴリーに偏らず体系的に知識を身に付けられます。
また、出版社が作成しているので内容の信頼性が高く、間違った情報はほとんど入っていません。
上級者レベル向け、中級者レベル向けなどの書籍もあるので、初心者は「入門」や「未経験」といったタイトルが含まれているものを探すといいでしょう。
ただし、書籍は情報が更新されないというデメリットがあるので、注意しましょう。
証券会社の配信情報をチェック
証券会社の配信情報には、勉強動画や株価予想、最新情報など初心者が欲しい知識が充実しており、常に新しい情報が入ってくるのが特徴です。
証券会社に口座を作っておけば、いつでも無料で質の高いコンテンツを利用できるのも嬉しい点です。
すでに口座を開設していて、まだ配信情報をチェックしていない人は、ぜひこの機会に見てみてください。
SNSや動画でも学べる
SNSや動画でも株式投資の知識は身につきます。
特に個人投資家が発信しているものは、実践から身につけた知識や技術、考え方が詰まっているので、とても勉強になるでしょう。
ただし、すべてが正しい情報とは限りません。個人の主観が強く反映されていたり、閲覧回数や再生回数を稼ぐための作り話の可能性もあるため、鵜呑みにしてはいけません。
デモトレードをしてみる
デモトレードは、証券会社でデモ口座を作ることで利用できます。
実際にお金を使わずに取引の練習をできる便利ツールなので、いきなり資金を投じるのが怖いという人は、デモトレードから始めるといいでしょう。
また、注文方法の確認にデモトレードは役に立ちます。投資には「成行注文」や「指値注文」をはじめとする複数の注文方法があり、慣れていないうちは予想と違う値段で売買してしまうことがよくあります。
自分のお金を使って取引すると、株価が下がった際にパニックに陥り、どうしていいか分からなくなることもあるので、デモトレードのうちに自分なりのルールを作っておくのもいいでしょう。
なお、デモトレードで大きな利益を上げることができても、リアルなトレードで負けてばかりというケースもあるため、デモトレードの結果が自分の実力だと思わない方が賢明です。
勉強せずに儲けられるほど投資の世界は甘くない
ベテラン投資家でも、読みが外れて損失を出すことはよくあります。勉強しても必ず勝てるわけではありません。
ですが、1つ確実なことは「勉強せずに儲けられるほど投資の世界は甘くない」ということです。
知識と経験の積み重ねから利益は生まれます。
勉強して少額投資からコツコツ経験を積めば、徐々に資金が増えていくでしょう。
資金が増えれば、投資に回せる額を多くできますから、それまでよりも大きな利益が見込めます。
派手な投資をせずに基本に忠実な取引を心がけましょう。
情報提供:初心者必見!ゼロから始める株式投資の勉強方法7ステップ
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