賃貸不動産マーケットに対してテクノロジーを活用したサービスを提供する株式会社スマサポは、東証グロース市場への上場が承認されました。IPOの概要やビジネスモデルを、図解とともにわかりやすく紹介していきます。
※個人投資家から事前に募った質問もございます。
目次
01.
株式会社スマサポ IPO情報
02.
スマサポの沿革
03.
スマサポの業績推移
04.
スマサポの事業内容
05.
入居者満足度調査サービス「スマサポサンキューコール」の概要
06.
入居者アプリ「totono」の概要
07.
スマサポサンキューコールの主要KPI
08.
totonoの主要KPI
09.
経営上の重要な契約
010.
今後の成長
株式会社スマサポ IPO情報
株式会社スマサポ(英:Sumasapo Inc.)は、2022月11日25に上場承認され、同年12月29日に上場予定。IPOでの公募株式数は150,000株、売出株式数は140,000株(オーバーアロットメントによる売出43,500株)。ブックビルディング(抽選申込)期間は12月13日~12月19日、公開価格決定12月20日、購入申込期間は12月21日~12月26日となっている。
スマサポの沿革
2012年4月に不動産業におけるインターネットを活用した人材紹介事業を行うために株式会社宅都ホールディングスの100%子会社として株式会社グローバルエージェントを設立。 2016年9月株式会社スマサポに商号を変更し、同年に「スマサポサンキューコール」の提供を開始。2017年に新電力サービス「スマサポでんき」・スマサポ内覧サービス「SKB」の提供を開始した。2019年10月、不動産管理会社向けソリューション提供事業を強化するにあたり、株式会社宅都ホールディングスより独立。2022年12月29日に東証グロースへ上場予定となっている。
スマサポの業績推移
直近の2021年9月期決算では売上高がYoY9%増の2,029百万円と、安定した成長を続けている。一方で、経常損益は赤字に転落。新電力サービスにおけるJEPXでの調達原価が想定よりも大幅に高騰して推移したのに対して、需要家への販売価格が固定化していたことなどが要因となっている。
スマサポの事業内容
スマサポは、不動産管理会社に向けたソリューションサービスを提供している。 現在は売上の約9割を「スマサポサンキューコール」が占めているが、将来的には不動産管理会社と入居者のコミュニケーションを円滑にする、入居者アプリ「totono」を核とした種々のサービス提供を計画している。 新電力サービス「スマサポでんき」は新電力市場の調達価格の不安定さから、需要家への訴求が難しくなると判断したため、完全撤退。
入居者満足度調査サービス「スマサポサンキューコール」の概要
「スマサポサンキューコール」は、新規入居者との接点を持たなかった不動産管理会社に対して、入居時のお礼や満足度アンケート調査の実施を代行するとともに、生活に必要な各種ライフラインサポート等の案内を手掛けるサービス。 アンケートの結果は不動産管理会社へフィードバックされ、様々な課題解決に活用することができる。また、入居時のフォロー電話で住み心地の調査も行い、課題の早期解決でクレーム防止を図ることも可能なサービスとなっている。 収益モデルとしては、不動産管理会社から提供される入居者情報に対価を支払い、外部委託先から顧客紹介手数料・取次手数料等を受け取る形。
入居者アプリ「totono」の概要
「totono」は、不動産管理会社と入居者のコミュニケーションをデジタル化するアプリ。これまで紙やFAX、電話が主流だったコミュニケーションの手法が、「totono」を活用することで契約内容の確認や管理会社への問合せ、各種申請などもアプリ上で行うことができ、コミュニケーションのデジタル化が可能となる。不動産管理会社から初期導入料及び毎月の利用料を収受している。
スマサポサンキューコールの主要KPI
収益の基盤となっているスマサポサンキューコールのKPIである「契約不動産管理会社数」はFY2022において、870社とYoY:156%と堅実に成長中。また、コンタクト数(入居者に電話をかけた数)も24万件となる。
totonoの主要KPI
積極的に投資中の入居者アプリtotonoの主要KPI「契約不動産管理会社数」についても、FY2022で72社とYoY185%の増加傾向。こちらも堅実に社数を増やしている。
経営上の重要な契約
2022年7月に賃貸管理会社大手の大東建託パートナーズ株式会社と業務提携を締結。両者が協業し、不動産業界におけるDXの推進を目指すとしている。 スマサポサンキューコールの導入も予定されている模様で、今後totonoなどのサービスを大東建託パートナーズ社が管理する物件の入居者に提供することで事業の拡大を見込む。
今後の成長
今後の成長の軸としては❶「スマサポサンキューコール」のデジタル化による収益構造の強化、❷入居者アプリ「totono」の管理世帯数の増加による収益基盤の拡大、❸入居者アプリ「totono」の他社提携等による収益機会の拡大の3点が主に挙げられる。 ❶については現在年間30万件を超える架電により行っている入居者とのコミュニケーションを「totono」アプリで行う等、デジタル化することで、一層の業務効率化を図る。 ❷は拡販を行うために、各種展示会への出展やセミナーの開催といった積極的な広告宣伝及び営業人員の増強による認知拡大とアフターフォロー体制の強化を図る。 ❸については、利用者である入居者が生活をする上で、必要な情報や商品をタイムリーに提供するために、他業種との提携を強化していく。
情報提供:株式会社スマサポ
総括
テクノロジーを活用した便利な暮らしや入居中のサービスをアプリを通じて受けられるプロダクトの開発をし、それを全国の不動産管理会社を通じて入居者に届けることで、不動産業界の効率化と入居者メリットを高めて売上が伸びています。上場をきっかけに知名度が上がり営業力が強化されることを考えると、今後の更なる活躍が楽しみな会社です。