本日はよろしくお願いします。進捗率も高く好調な決算でしたね。
ティッカーくん
そうですね、堅実に成長しています。
IR担当者
海外展開や広告宣伝費の抑制について踏み込んで聞かせていただきたいです。
ティッカーくん
はい、よろしくお願いします。
IR担当者
※個人投資家から事前に募った質問もございます。
目次
Q1
今回の決算のポイントを教えてください
Q2
広告宣伝費を抑制して売上が伸びていますが、以前と比べて何か違いはありますか。
Q3
広告宣伝費は抑えていますが、成長率に関してはどのように考えていますか。
Q4
プレスリリースのリッチ化は今後の売上にどのような影響がありますか。
Q5
アメリカを中心とする英語圏への展開について教えてください。
Q6
営業CFにより現預金が増加していますが、資本政策に対する考え方を教えてください。
Q7
上場企業の利用率が増えていますが、こちらの背景などございましたら教えてください。
Q8
コロナ禍になり約2年が経ちましたが、社内の雰囲気など何か変化はありましたか。
Q9
投資家の方に対してメッセージはございますか。
今回の決算のポイントを教えてください
良くも悪くも堅実に成長中というところです。この3ヶ月もこの半年も変わりなく利用企業、メディア、読み手が相互に増えたということが良かったです。プラットフォームサービスなので、どこかが減り始めると利用価値が減る可能性がある難しいビジネスモデルと認識していて、その変調に対してとても慎重になっています。 もし投資家の方々が何か良い発表を期待していたとしたら、大きな良い変化もありませんでした。その点が唯一悪かったと言えます。今期予想に対しても十分な進捗はしています。
その他の重要な指標は、プレスリリースを受け取ってくださるメディアの数です。社会環境として紙媒体を中心にメディアの廃刊休刊が増えていて、プレスリリースを受け取れるいわゆる今までの編集部の数が減ってきています。 しかし個人の記者やライターの人が、プレスリリースを受け取るためにPR TIMESにご登録いただくということが、それをカバーして余りあるほど増えています。さらにはプレスリリースを転載するメディアも純増をキープしたというのも非常に大きかったです。地方の業務提携も引き続き拡大しています。
広告宣伝費を抑制して売上が伸びていますが、以前と比べて何か違いはありますか。
広告宣伝費を前期比で大幅に減らしていても、PR TIMESの新規利用企業社数を大きく伸ばしています。これはネットワーク効果を原動力に持続的な利用企業社数の増加を実現していることの証明になっています。ただし成長を速め、規模の可能性を広げるには、広告宣伝は有効な手段です。実際、前々期にはPR TIMESで1社提供番組を半年間放送したこともあります。またPR TIMES以外の事業はいずれも投資フェーズであり、必要に応じて広告宣伝を実施しています。
多くの人にとって価値あるプレスリリースを出してくださると、またそこから隣接するユーザーが増えやすいというのもありました。スタートアップのお客様は、その上場に至る過程まで長く使っていただいている企業が多く、今回の決算発表でも数字を集計していますが、マザーズに新規上場される企業の75%以上でご利用いただいています。
広告宣伝費は抑えていますが、成長率に関してはどのように考えていますか。
成長率が高ければ高いほど良いというわけではなくて、当社の3種類のユーザー(利用企業、メディア、読み手)のどこか一方だけに偏重しない、健康的な成長が重要だと考えています。例えば利用企業の数だけが2倍になっても読み手が増えなければ、プレスリリースを投稿する価値が相対的に低くなり、利用価値が下がってしまうからです。
プレスリリースのリッチ化は今後の売上にどのような影響がありますか。
短期的には業績に影響はありません。アメリカを中心としたグローバルや伝統的なプレスリリースのサービスでは、文字数や画像・動画の点数が増えると追加で費用もかかるというような料金体系が多いですが、PR TIMESではそのような素材の点数が増えても料金は変わりません。
むしろ画像など容量を必要とする素材が増えれば増えるほどコストは短期的に高くなります。しかし、プレスリリースがリッチ化されることで、より多くの人がPR TIMESを見るようになると、発信する人にとって価値が高まります。そうして発信する人とコンテンツを増やし、それをメディアに魅力的に表現いただいて、結果的に読み手が増える、という循環を作りたいと考えています。それを追求しやすいのが当社の料金体系であります。
アメリカを中心とする英語圏への展開について教えてください。
もともとミッションを日本限定にしていません。 今のこの世界で大きなインパクトを出して時代を作りに行くと考えると、一番の核となる地域はアメリカしかないと思っています。日本の企業が進出しやすいのは他の地域かもしれませんが、当社のミッション実現に挑戦する意味がある場所はアメリカだと思っています。
また、経営者の課題だとは思いますが、この世代より上の世代の日本の経営者の方は、世界で評価され、使っていただける製品やサービスを生み出してきました。そして日本の技術力が上がり、さらに労働生産性が上がってきたという歴史があります。日本の内需があって、しかもその通貨が高くなって、世界中のものが買いやすくなったというのは、経済成長の面では国が豊かになったと思うのですが、最近では日本で作ったものが世界で売れなくなっているという問題があります。また日本の通貨も安くなっています。世界で作られた原材料を仕入れようとしても高い、それを加工して外に売ろうとしても売れないというような状況になっています。
特にわかりやすいのはインターネットだと思います。世界で使われる、世界で通用するインターネットサービスは日本からは中々出てこない。でも、もはやインターネットが前提となって、あらゆる産業が変わるというのは不可逆的です。今後このデジタル化やネット活用で様々な産業にインパクトを与えて、生活者を豊かにすることが世界中から求められ続けることはもう変わらない。PR TIMESが日本で6万社以上に使っていただいて多くの人に見ていただけるのは、一定の成功かもしれません。ですが、上場企業としてふさわしい成功のためには、日本でこれだけ多くのユーザーに支えられているのに甘んじることなく、日本企業として世界で成功するというのを目指さないといけないと思っています。
営業CFにより現預金が増加していますが、資本政策に対する考え方を教えてください。
株主還元として株主総利回り(TSR) を指標にし。これまでも無配を継続しながら、高い株主還元を実現しています。配当による株主還元でなく、持続的な売上高成長と営業利益拡大を実現しながら適正な評価により中長期で時価総額の向上を目指しています。成長が鈍化した場合には配当による株主還元を検討せざるを得ませんが、そのような状況にならないように経営していきたい。 また成長を続ける中でも、営業キャッシュフローが数百億円というレベルになれば、配当しても投資資金を十分に確保できます。大きな買収を現預金で実現できるのは、経営の選択肢を増やすことになるので、その状態を目指しています。
上場企業の利用率が増えていますが、こちらの背景などございましたら教えてください。
PR TIMESの特性だと思います。たとえばSNSでも利用ユーザーが多いサービスでみんな投稿します。それは投稿する質量と、閲覧数は比例するとわかっているです。そして、多くの人が投稿することはネットワーク効果だけでなく、その他にもメリットがあります。そのひとつが、コンテンツクオリティの向上です。クオリティというのは表現の技術だけでなく、ユーザーの行動様式そのものを変化させることまで含みます。プレスリリースでどう表現するかに留まらず、プレスリリースの契機をどうつくるかまで変化を促しています。
コロナ禍になり約2年が経ちましたが、社内の雰囲気など何か変化はありましたか。
あらかじめ経団連に入っていて良かったと思いました。このようなときの社会規範が経団連から示されて、緊急事態の中で、例えば出社比率の指標が示されてそれに従うように働けたのは良かったと思っています。一方、その中で、改めてフェイストゥフェイスで仕事をする価値の高さを認識できました。
共感能力を育むことは当社のビジネスでは非常に重要ですが、顔を合わせてのコミュニケーションは共感能力の育成に寄与すると感じています。今は機能的価値だけではなくて、情緒的価値というのが一つ一つの製品やサービスの中で求められています。価値を表現して、伝えて、届けて、認知してもらい、さらに興味を持ってもらうというのは、その情緒的価値に気づかないとできないので、ここは改めて重要だと思いました。
投資家の方に対してメッセージはございますか。
上場の大きなメリットは応援してもらえることだと考えています。その中で色々と教えていただけることは本当に経営に活かされています。例えば、一部の投資家の方からPR TIMESに投資しない理由を教えていただくこともありますが、それも当社にとっては価値があります。今後もそういったフィードバックをもっともっと頂きたいと思っています。
情報提供:株式会社PR TIMES
総括
直接お話を伺うことで、広告宣伝費に対する考え方や海外展開への想いを感じることが出来ました。利用企業とプレスリリース数がしっかりと拡大することによって、プラットフォームとしての価値が増加していて好循環の流れとなっています。今後の海外展開や新規事業にも期待が高いです。