「デイトレード」とは、1日のうちに買付と売却を行い、取引を翌日に持ち越さない取引手法のことです。長期投資という言葉があるように、一度株式を買い付けたら、配当や長期スパンで値上がり益を期待し保有するイメージがありますが、デイトレードはいわばその対極にあります。

デイトレーダーは、デイトレードを行う投資家のことです。

デイトレードのように短期で取引をする手法には、他に秒〜分単位のわずかな時間で、売買を行い小さな利益を積み上げていく「スキャルピング」や、日単位で株式等を保有し売買を行う「スイングトレード」などがあります。

デイトレードで生計を立てている投資家もいるほどですが、デイトレードの魅力にはどのようなものがあるのでしょうか。

デイトレードは値上がり、または値下がりを見逃さず、短期間で売買を繰り返します。1回の取引における利益は小さいものですが、その利益を次の投資にプラスして運用することで、複利効果が期待できます。短期間で何度も売買をするデイトレードならではの投資効果です。

また短期間で売買を繰り返すため、少ない元手でも何度も投資が可能です。ただし、利益を出し続けることは難しく、損失が出る日もあることは認識しておく必要があります。

デイトレードは1日のうちで売買を終えるため、その日の価格変動しか影響を受けません。長期保有のケースより、変動幅が狭いため大きな損失につながる可能性は低くなります。同様に大きく値上がりする可能性も低いと言えます。

デイトレードは原則、ポジションを翌日以降に持ち越しません。日本のマーケットが閉まっている間に発表される経済指標や決算発表、海外市場の影響を受けないことは、デイトレードのメリットの一つです。

また、長期投資では重要となってくるマーケット全体のトレンドや、企業の業績なども、デイトレードではあまり重要ではありません。1日中ずっと上がり続ける、もしくは下がり続けるという動きは少ないため、デイトレードでは、買い付けるもしくは売却するタイミングを見極めることが重要になります。

次にデイトレードを行ううえで、注意すべき点を確認していきましょう。

前述の通り、デイトレードは1日のうちに売買を付けるため、マーケットが開いている時間帯は、株式の値動きに注視していなければなりません。一瞬の迷いが、損益を分ける場面もあります。緊張状態が続くため、トレードにストレスを感じる方もいるようです。

また、後述しますが、ルールに則り売買を淡々と繰り返すため、デイトレードは忍耐力も必要とされます。単調な取引が、苦にならない方が向いているでしょう。

デイトレードでは、長期投資以上に、売買のタイミングが大きく損益に影響を与えます。短い時間で分析を行い、チャートを見極めるスキルが、デイトレードを成功させるポイントです。

トレードに慣れていない投資初心者は、何を基準に判断すれば良いか戸惑うかもしれません。まずはデイトレードの経験を積み、取引自体に慣れることが先決です。

さあ、デイトレードを始めよう！と思っても何を準備すれば良いかわからない、という方もいらっしゃるでしょう。デイトレードをスタートする3ステップをご紹介します。

デイトレードはスマホだけでも取引自体は可能です。

ただし、デイトレードは売買のタイミングが重要なトレードです。スマホ1台では、チャートや株価をチェックしながら、すぐさま売買を行うといったような、2つの作業を同時に行うことができません。

デイトレーダーと言えば、複数のモニターが並んでいるデスクを想像するかもしれませんが、最低限パソコンとスマホがあれば始められます。トレードに慣れてきたら、徐々にモニターの台数を増やしても良いかもしれません。

複数のモニターがあれば、タイムリーに各マーケットの動きを確認できるため、株式だけでなくFXなどに、投資先を拡大することも可能になります。

また、取引にあたっては、証券会社が提供しているツールやアプリを利用することをお勧めします。証券会社ごとに多少違いもあるため、比較検討したうえで、ご自身が利用しやすいものを活用しましょう。

まだ証券会社で口座を開設していない方は、口座開設も必要になります。デイトレードは1日に複数回に渡り売買を行うため、取引にかかる手数料が安い証券会社を選ぶと良いでしょう。一般的にはネット証券は、取引手数料が安いと言われています。

ただ、取引金額によって手数料も変わってくるため、各証券会社のWebサイトで確認しておきましょう。

デイトレードはポジションを持ち越さないため、売買のタイミングをルール化しておく必要があります。例えば、5％値下がりしたら損切りというように、具体的な数値で判断するとずるずると持ち越してしまうリスクが小さくなります。

デイトレードに向いている投資としては、まず国内株式が挙げられます。選択できる銘柄数が多く、情報が得やすい利点もあります。また権利行使日のみ、ポジションを持ち越せば配当金や株主優待等も受けられるため、キャピタルゲイン以外の利益も期待できます。

また、FX（外国為替証拠金取引）もデイトレードに向いている取引です。一般的に日本のマーケットが閉まっている時間帯でも、海外市場は開いています。FXであれば、ほぼ24時間マーケットが開いているため、日中の取引が難しい投資家も始めやすいというメリットがあります。

投資全般に言えることですが、仕組みを理解しているつもりでも、実際にトレードをしてみたら「こんなはずじゃなかった」という場面に遭遇するものです。

デイトレードは少ない元手でも始められるところも、投資初心者がスタートしやすい理由の1つです。まずは少額で、取引に慣れるところから始めてみましょう。